朝、出かける準備をしていると、ふいにポロポロと、どこからか文字が零れ落ちてきた。
頭を通さず、いきなり文字。(これは、よくあることなのだけれど)
わっ。掬(すく)う間もなく、ざざざとその場で流れ落ちる。
そのまま、いつものように慌ただしく外出し、日常に塗(まみ)れたら、
流れ落ちたまま、なにも残っていない。
予想していた通り、雑事から解放された夜には、きれいさっぱり忘れている。
なんだったんだろう?
あの連なった一連の文字群。
キラリと光る滴が見えたような気がした。
どうせ大したことではないだろうけれど、気になる。
ネタ帳的なものが必要だ。
と、帰路途中、地下鉄車内で、ここまでケータイに一気に入力したところ、
ふと、駅員さんのアナウンスが聞こえた。聞きなれない駅名だ。
どこなん? ここ? 頭でぐるぐるぐる、 検索機能が作動。
システムが古いので、なかなか即座に答えが出ない。
地下鉄、反対方向に乗っていることに、ようやく気がついた。
急に慌てて降りるのも恥ずかしいので、ひと駅向こうで、降りて引き返す。
あぁぁ、いつもこの調子。
どうでもいいことにこだわっていると、実生活に支障をきたす。
今からまた反対向きに出直しだ。
私の人生の縮図のよう。
単なる天然キャラなだけだけれど。
ネタ帳よりも、もう20年以上も乗り続けている電車に、乗り間違えるな!
って、自分に言いたい。